訓練士養成校に関して
たまには私の専門のリハビリテーションに関して書こうかな、と思います。
リハビリテーションというと、いわゆる『リハビリしてくれるスタッフ』が必要になります。
それがいわゆる理学療法士だったり、作業療法士だったり、言語聴覚士というスタッフです。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は大学の専門科を卒業するか専門学校を卒業したのちに国家試験を受けた上で合格したら、国家資格として仕事をすることになります。
私が医者になり始めた23年前ころは理学療法士、作業療法士などの訓練士の数はかなり少なくて、全国に2000人くらいしかいなかったのではないか?と思います。病院にも一人か二人しかいなくて、とても貴重な存在でした。そしてそのころのセラピストはかなり誇りをもって立ち振る舞っていたように思います。
その後、リハビリテーションの重要性?がさけばれるようになり、国家をあげて理学療法士や作業療法士、言語聴覚士を増やす方向になりました。その結果、訓練士の養成校が爆発的に増加しました。
現在年間、1万人近くの理学療法士、5000人くらいの作業療法士が誕生しています。おかげでだんだんと彼らが就職する場所も少なくなり、養成校に入学する学生も減少傾向になりました。
養成校は学生からの授業料で経営しています。従ってまずはどんなレベルが低い人でも入学させてしまう事態になります。そのあと、退学されてしまうと収入が減るのでなんとか辞めないで4年間を過ごして貰おうと考えます。
養成校の学生、在学中にいろんな病院で臨床実習というのが行われます。数週間(長い実習だと9週間くらい)、病院の理学療法士や作業療法士に指導を受けながら患者さんを診ていく実習があるのです。
昔は真面目な学生も多かったのですが、最近はちょっと事情が変わってきています。
病院実習でその学生の成績をつけるのは、その病院にいる指導責任者の理学療法士ないし作業療法士であるのですが、昔はその指導責任者が『こいつ不合格』と言ったら、学校でも単位がとれず、場合によっては留年なんてことがありました。
ただ今は、どんなに病院実習で指導責任者が不合格を与えても、不合格を与えた学生が辞めてしまう恐れがあるので学校側で単位を与えてしまい、卒業させてしまうことがあるようです。
学校としては国家資格に受かろうが受かるまいがとにかく学生が長い間授業料を払ってくれればいいのです。
まぁ、そのような学生が国家資格に受からなければいいのですが、受かってしまったら大変なこと。コミュニケーションはできない、しっかりとした技術もないとなると患者の不利益になります。
まぁ、いい加減な病院ならとにかく訓練士がいてくれ、適当に時間を潰してくれれば、『診療報酬』として20分間で1800円から2400円くらいとれるのです。
でもね、レベルの低い訓練にそれだけの保険料が支払われていることを考えると違和感ありませんか?
何よりもそのようなレベルの低い訓練士を作り出してしまう養成校も問題じゃないかなぁ、と思ったりします。
ちなみにうちのセラピストは全員優秀です。間違いなく。
いちごだいふく、おいしいなぁ。
風邪に抗菌剤使用は控えなさいという勧告がでて嬉しい‼︎
ようやく厚生労働省が『単なる風邪や下痢に抗菌剤を安易に処方するのは控えるべき』という勧告を出してくれて嬉しい限りです‼︎
抗菌剤って知ってますか?
昔は『抗生物質』と言っていました。『細菌』をやっつけるために開発されている薬です。
この『抗菌剤』、ちょっとした風邪でもよく処方されます。ただ、風邪って多くは『ウイルス』という超超ミクロの物体で『抗菌剤』はこのウイルスはやっつけられません。
じゃあ、なんで医者は『抗菌剤』をウイルス感染に処方するのかというと、もしかしたらこの『風邪』と思われているものが実は『細菌感染』かもしれないため予防的に出していることが多いのです。
少し話がそれますが、私の若かりしころのことで忘れられない出来事をお話します。
医者になって2年目になったばかりのころ。茨城県のとある病院に勤務することになりました。今では考えられないかもしれませんが、まだ医者になって1年ちょいしか経っていない医者でも『一人で』全科当直、救急対応をしなくてはいけませんでした。
今では医者になって2.3年は必ず指導医と一緒に当直をしなくてはいけませんが、当時は今ほど恵まれておらず、精神的にかなり辛い仕事でした。
ある晩、一人の若い30代くらいのお姉さんが鼻水と微熱で私が当直していた夜に受診しました。胸部、腹部など聴診、触診などで問題なく、夜中なので呼び出しでレントゲンや検査などを呼び出しする必要もないな、と判断し、風邪と診断し、解熱鎮痛剤のみ処方して、
『たくさん水分をとってゆっくり休んでください。薬は1日分しか出せないので、また明日昼間に内科を受診してください。』
と言って帰しました。
次の日、当直明けで病棟で仕事をしていたら、内科の先生から私に電話がありました。
『大塚先生、昨日の夜の患者さんなんだけど、確かに風邪なんだけど、こういった場合には抗菌剤も一緒に処方してもらわないと困るよ。なんかあった時に訴訟になったりするよ。』
この言葉はいまだに忘れられない。
結局過剰処方しているのは、訴訟対策とか患者の薬をたくさんもらいたい症候群の影響が大きいのかなぁって、まだ若かりし自分は初めてそう思いました。
ただね、抗菌剤をむやみやたらにだすと、細菌も自分を守ろうと命がけだから、抗菌剤に対して防御機構をグレードアップしてきます。そうなると効く抗菌剤がどんどん減ってきちゃうんです。
でも今回ようやく、厚生労働省が『風邪に抗菌剤をむやみに出しちゃダメよ。』と指針を出してくれたので、ぜひ全国民にこの事実を知ってもらいたいです。
再び言います。『ウイルスは抗菌剤ではやっつけられません。』
歯のインプラントに関して
歯のインプラントってご存知ですか?
なんらかの原因で歯が欠損してしまった場合、チタンやチタン合金などの金属を歯根の代わりに顎の骨に埋め込み、人工の歯をつくるものです。
メリットは入れ歯にはない適合性の良さや周りの歯との噛み合わせがよくなるようです。
1本あたり30万から40万円かかり、保険適応はありません。
要するに『骨の中に金属を埋め込んで歯の代わりにするもの』と考えて良いようです。
話は変わりますが、私はリハ医をする前には整形外科医として、膝関節を専門にしていました。一番多く扱っていたのは変形性膝関節症という軟骨がすり減り、関節の機能を失ってしまう病気です。軟骨は一度すり減ってしまったら生えては来ません。めちゃくちゃ痛いのです。
治療方法としてメジャーなのは壊れた関節を金属材料で植え替える『人工関節置換術』というものがあります。膝に金属を入れて膝の代用をするのです。この手術をすると非常に喜ばれます。トラブルがなければかなり痛みが消えますので。
私もたくさん人工膝関節置換術をさせていただきました。その際にいつも気にしていたのは、
『骨の中に金属を入れ込む時はとにかく細菌感染に注意。徹底した無菌処置、清潔処置をすること』
でした。
骨の中、とくに関節の中にバイ菌が侵入するとやっかいです。骨の中は血の塊で栄養分がたくさんあり、バイ菌さんの格好の天国のような場所で繁殖していきます。そして骨を徹底的に破壊していきます。金属の周りは白血球などの免疫細胞がとどきにくいので、格好のバイ菌の隠れ家になるのです。
とにかく骨の中に金属を入れる時は気をつけろと教えられてきました。骨の中や関節の中は無菌状態です。手術中にバイ菌が侵入してくるので、徹底的に洗い、バイ菌を洗い流し、抗菌剤を使い、バイ菌を殺します。そうすることで骨の中に金属が入っても安定できる環境をつくるのです。
人工膝関節置換術も骨の中に金属を入れ、膝の代わりをすると考えられます。
話を元に戻しましょう。
歯のインプラントと人工膝関節置換術って似てると思いませんか?
でもね。かなりの違和感を感じるんですよ。
骨の中に埋め込んだ金属の周りってバイ菌の隠れ家みたいなものって先ほど言いました。
人工膝関節の場合、基本的にバイ菌がいないところに金属を入れ込みます。
でもインプラントって口の中に入れるんですよね。
口の中ってどんな環境だと思いますか?よーく考えてみてください。そのような環境の中に金属を骨の中にいれるんですよ。
人工膝関節の場合、無菌状態で行っていても長期的に見ると骨や関節に感染を来して、関節破壊をきたしてしまう可能性は数%あります。無菌状態でもです。
インプラントの場合はどうでしょう?
ちなみにしっかりとしたインプラント周囲炎の発生頻度のデータはありませんが、ネットによると数十%の感染率の推測があります。
一度骨の中のバイ菌による感染をきたすと本当にやっかいです。治ったと思っても少し抵抗力が落ちるとまた再燃してしまうことがあります。
インプラント治療を否定するつもりはありませんが、無菌状態で金属を骨の中に入れてきた人間として違和感が拭えないのです。
インプラントをお考えの方はいろんなメリット、デメリットを考えて治療を受けてください。
まぁ、何よりも歯をなくさないことが一番です。しっかりとした食生活、しっかりとした生活習慣、定期的な歯のメインテナンスを行うだけで歯も歯茎も健全になり、歯も歯茎も健康なら全身も元気になりますよ。
美脚に関して
美脚
なんて甘美な響きでしょう(//∇//)
世の女性は美脚に憧れ、世の男性は美脚に魅了されます。
ただ、筋肉とか骨とか診てる医者からしたら、こんな風潮が流行らなければいいのに、、、とか思ってしまいます。
まず脚を細くさせるために極度の食事制限をする方がいます。炭水化物、蛋白質、脂質、ミネラルなどのバランスが極度に悪く、サプリメントなどに頼っている例もあるとのこと。
あと運動することで筋肉をつけてしまうと彼女たち的にはあまり美しくないので、筋力強化の運動をしなくなります。
若いうちはまだその『美しさ』は保てるかもしれませんが、心配なのは彼女たちの20年後、30年後です。
筋肉量は少なく、骨もやせている状態だとどうなるでしょう?
まず転びやすくなります。
転ぶと運が悪いと骨折しやすくなります。
骨がやせているとちょっとしたことでいろんなところが骨折しやすくなります。
特に股の付け根が折れやすく、腰の骨が潰れやすくなり、動けなくなり、極度の猫背になります。見た目にあまりかっこいいものではありません。
若い時の美の追求が普通より20年近く体力的衰えをきたし、普通より長い寝たきり期間を過ごさなくてはいけなくなるかもしれません。
あまりに肥満が強いのも問題ですが、女性は少しぽっちゃりしていて適度に筋肉がついていた方が女性らしくていいなぁと思いますが。
それにBMIが標準より少し高いほうが長生きできるというデータもありますし。
美脚の追求
若い時はそれなりにチヤホヤされて快楽を得られるかもしれませんが、あとは体をボロボロにする。まさに『麻薬』みたいな感じですね。
肩こりに関して
肩こりに関してはたくさんの患者さんを診ますが、以下の写真の考え方に完全同意です^ ^
人間は誰かに何かをやってもらわないと気が済まない動物なのかもしれません。自分で何かをするより他の人に何かをやってもらわないと治療に満足しないのです。
以下の写真のように患者さんに言うと、多くの患者さんは逃げて行きます。そうすると病院の偉い方に怒られるけどね。患者さんが減りますから。
私のように勤務医ならまだいいけど、『揉まない』と言う選択肢は開業医の先生がこのように言ったら死活問題かもしれません。
でも、肩こりにとって
揉みほぐしは麻薬
運動は特効薬
と思うんです。まさに『せいたいや』のわなにハマりますよ。
人の話を聞けない方々
最近増えたなぁと思うのは、人の話を聞けない方々。自分の言いたいことを言い放って、自分勝手にいろいろやって、何か問題がでると人のせいにする人。
仕事がら患者やその家族に病気のこと、これから想定されること、退院の見通しなど時間をかけて話をします。最近ではあまりに話しが通じないので、小学5年生でもわかるようにレベルを下げて話していますが、それでも理解できない人が増えています。
ただ最近、ちょっと考えが変わりました。
理解ができないのではなくて、人の話を受け入れようとしないんだ!
ということがわかりました。
自分の思い通りにならないと気が済まない。
話をしても自分の都合のいいことしか受け入れない。
治らないのは医者のせい。
まぁ、そのような方々が蔓延しています。
ただ、リハビリテーションの見地から言うと、人の話を聞けない人はあまり良くなりません。良くなるひとはとりあえず人の話を聞き、いいと思ったことは自分に取り入れ、自分には合わないと思ったことは疑問点としてスタッフと話して解決策を見つけて行きます。
さてさて、これからさらに話し聞けない方々が増えるんだろうな。どう対応していこうか?白髪が増える日々です。
実家の猫のように幸せそうに眠りたい。
講演謝礼
ある分野、とくに高血圧症とか糖尿病とかリウマチとか骨粗鬆症とか精神病薬で有名になると、製薬会社から講演依頼がたくさん来ます。
1回につき数万から10数万円。
『講演謝礼』と言われるもので、多い先生は1年間に数千万円稼ぐと言われます。別に法的に違反しているわけではないし、この報酬に納税していれば問題はありません。
でもなんだか違和感は拭えないんですよ。製薬会社からお金をもらっているわけですから、その薬の悪いところは言えないわけですから。
私なぞ講演依頼は来ないペーペー医者ですし、リハビリテーションという一番薬を使わない科ですから製薬会社は寄ってきません。このように薬をたくさん使う科で有名になるとお金持ちになるんだぁ、と羨ましくなりますが、休みの日にも講演三昧な日々も嫌だなぁ。お金はそこそこでいいからライブに行きたいし、海にも潜りたい。
まぁ、へっぽこ医者の負け犬の遠吠えですが。
でもね、薬の収益ってわれわれの健康保険代や税金からきているんですよ。むやみやたらに高い薬が不必要に使われないでほしいなぁとつくづく感じます。