リハドクターKのたわごと

医学医療への雑感を書き記します

膝関節痛は99%完治するか?

世の中には『極論本』がたくさんありますね。

 

やはり本のネーミングが重要で、これだけ言い切っていれば、いわゆる『考えない方』『依存傾向の方』や『情報弱者』は飛びつくんだろうなと思います。

 

まず『治る』という概念をどうとるか?が問題です。

 

病気や怪我そのものの原因はとりのぞけていないけど、とりあえず『痛み』などの症状が出ていないことなのか?

 

それとも解剖学的にも正常だし、なんの検査でも異常はないけど、『痛み』などの症状が残っているものなのか?

 

理想とすれば病気や怪我そのものの原因もとりのぞけて、『痛み』などの症状がないのを『治る』というのですが、長生きすればするほど関節などは年齢的変化を受けて骨や軟骨が傷んできます。

 

傷んでくる骨や軟骨は基本的には元のようには戻りません。年齢をとってくると多かれ少なかれ、誰しもが痛みを伴ってきます。

 

うまく体をメインテナンスして、適度に運動し体重に気をつけて生活している方はそのいたみの発生年齢は遅くなりますが、運動しなかったり、肥満傾向な方は痛みの発生年齢は早くなります。早い人は40代くらいで膝などに痛みがくることがあります。

 

膝痛にはたくさんの原因がありますが、圧倒的に多いのは年齢的(最近ではもともとの遺伝的要因もあるといわれていますが)に起こるという『変形性膝関節症』です。65歳以上の高齢者の約6割以上が持っていると言われ、おそらく1000万人近くの方がなんらかの病院や整骨院に通っているのではないか?と思います。

 

膝関節の軟骨がすり減ることが病気の主体で、今現在、その軟骨を元に戻す治療は一部を除いて行われていません。もっとそのへんの軟骨培養がうまくいけばこの治療は変わってくるかもしれませんが、現状ではすり減った軟骨は元に戻りません。

 

また不思議なことに軟骨のすり減り量と痛みに相関関係があまりなくて、めちゃくちゃすり減っていても痛くない人もいれば、少しだけすり減っていてもかなりの痛みを訴える方もいます。

 

さて話を元に戻しましょう。

『治る』と言う概念からして、医者であれば99%完治するなどということは言いません。と言うより99%治すなんて無理なことは知っているからです。

 

これらを言うのはいわゆる『せいたいや』です。彼らは病気や怪我そのものの原因を治すことはできませんから、おそらく『痛み』を治すことを意味しているのでしょう。膝の周りの硬くなった筋肉などを揉み解せば一時的にも『痛み』がなくなったっ感じるでしょう。数回これらを繰り返すとすっかり良くなったと感じると思います。それが彼らの言う『治る』と言うことなのかもしれません。

 

でもね。彼らの商売はリピートさせてなんぼなんですよ。そのうち『完治』した人はまたやってくるものです。うまい口車に乗せられて。

 

病気や怪我の本体を良く調べ、どんな治療が適切かをまずは整形外科医に相談した方がいいでしょう。『すぐ注射しましょう。』という整形外科医だったらもう受診するのはやめましょう。本当に親切な整形外科医だったら生活の見直し、運動方法を話してくれるはずです。

 

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