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リハドクターKのたわごと

医学医療への雑感を書き記します

食べること、食べられることは素晴らしい①

病気やケガなどを機に食事がとれなくなる方がいらっしゃいます。

 

そのような状態を『摂食嚥下障害』と言います。

 

この摂食嚥下障害は大きく分けて3つのパターンに分かれます。

 

① 意識状態が非常に悪くて、呼んでも刺激を与えても反応がないパターンで口も開けられない状態

 

②意識状態もいいし、反応も良好ですが、神経がうまく働かなかったり、飲み込みするための咽頭や舌、喉頭などの器質的、機能的障害で食べたくても食べられない状態

 

認知症精神障害などで器質的、機能的には問題ないものの食べることを拒否している状態

 

 

①に関してはとにかく意識状態が戻らないことには食べ物を口に入れたとしても噛まないし、飲み込めないので、下手したら窒息して死にます。だから口からの食事は困難なため、点滴や鼻や胃からのチューブで栄養をいれます。栄養を入れないと餓死しますので。

 

意識状態が良くなったら、その反応を見ながら口から食事をとる練習はします。それが十分に生きるに足りるくらいの栄養量をとれるかどうかを判断した上で、チューブからの栄養や点滴からの離脱を考えます。このへんの判断は医者の冷静な目が必要でしょう。

 

 

②に関しては、いわゆる『リハビリテーションに詳しい医者』の最も活躍が期待される場面です。食べたいけど食べられない方をなんとかして食べさせるためにはどのようなプラン立てをしていったらいいか、知識と情熱以外ないかもしれませんね。

 

長い時間、何度も何度も訓練して、食べられるようになった時の感動は患者はおろかスタッフも涙が出るほど嬉しいのです。『摂食嚥下障害』を知らない医者はひたすら絶食にし、スタッフに丸投げなのですが、②のような方にはあらゆる選択肢を駆使してリハビリテーションを継続すべきなのです。

 

 

③に関しては一番厄介です。本人が食べようとしないので。いろんな食事形態や声かけを変えてみたりして、なんとか食事をとってくれる方はいますが、頑としてとらなかったり、吐き出してしまったり、そのうちやせ細ってしまって状態が悪くなる方も少なくありません。おそらくこれからこのような方は増えてくるでしょう。

 

『摂食嚥下障害』のリハビリテーションで必要なことは確実な知識と冷静な判断、そして情熱だと思います。ただ最近、感情論だけで突き動かされて、『口から食べさせなくては悪だ。』みたいな考えの方も増えていて厄介です。

 

食べさせたいという気持ちはわかりますが、冷静に判断しなくてはいけません。無理に食べさせれば窒息するし、喉に残留が多くて、夜間に残留物が肺に入って誤嚥性肺炎ってことも多いですので。

 

このような冷静な目を持つ医者が増えてくることを祈っています。

 

数週間前、某所で食べたピザ。

とても美味しかったです。やはり美味しいものを食べられるのは幸せですね。

 

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