リハドクターKのたわごと

医学医療への雑感を書き記します

頸髄損傷 最近の傾向

頸髄損傷とは、、、

 

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『首の神経が切れて』と言うのはちょっと言い過ぎで、『首の神経が痛めつけられて』というのが適切かもしれません。

 

頭を強く打ったり、首が強い力でひねられたりすると首の骨が折れたりして、脳から繋がっている首の神経が圧迫されて痛めつけられます。

 

 

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首の神経は手や足の動きに大きく関わっているので、ここをやられると手足の動きが悪くなります。かなり強くこの神経をやられると最悪で手足の動きが全くできなくなるとか呼吸に関わる神経もやられるので、死亡することもあります。

 

そしてこの首の神経をやられると今の医療では手足の動きの悪さがかなり残像するケースが多く、車椅子生活や寝たきり生活を強いられることも珍しくはありません。

 

ひと昔前は交通事故や労災事故やスポーツなどで頸髄損傷になる方は若者がメインでした。若者は体力があるので、訓練で手足が不自由でも頑張って頑張って車椅子で移動や身の回りのことがあらかたできるくらいまで行く人も多く、人によっては車椅子バスケットボールなど障害者スポーツなどを行う方もいます。また星野富弘さんのように手足が動かなくても、口で立派な絵画を書かれたりします。

 

今は少し事情が変わってきました。最近の頸髄損傷の多くは高齢者になりました。ただ高齢者の交通事故や労災事故が増えたと言うわけではなくて、『高齢者の転倒』が増えたのです。

 

高齢者は頚椎ヘルニアや後縦靭帯骨化症などいろいろな要因で首の神経の通り道(脊柱管と言います)が狭くなります。頭を強く打ったりして強い力が首にかかると、首の神経が周りの骨(頚椎と言います)や椎間板に圧迫されやすくなります。そうすると首の神経を痛めやすいのです。

 

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結構多いパターンが酒で酔っ払ったおじいちゃんがふらついて転倒して、頭を床に強く打ってしまい、その後に手足が動かなくなってしまったと言ったケースです。

 

手足の動かなさの程度にもよりますが、高齢者が頸髄損傷をきたすと、高齢者は予備体力が低いのでやれることが限られます。その後の日常生活において介助がかなり多くなり、寝たきりになる方が少なくありません。

 

『酒飲んで転んだだけなのに、、、』

 

と後悔しても遅いことが多々あります。今までピンピンしていた方が一瞬で動けなくなるのは悲劇以外何ものでもないです。

 

 

高齢者を見ていると症状がなくても、首の神経の通り道が狭い方は多いです。特に男性。ですので首に違和感があったら、整形外科でレントゲンを撮ってもらったり、場合によりMRIなどで自分の首回りのことはチェックしてもらったほうがいいと思います。

 

もちろん転倒にも注意してください。くれぐれも酔っ払ったあとはふらふらしませんように。