リハドクターKのたわごと

医学医療への雑感を書き記します

介護は配偶者や子供がしなければいけないものなの?

私は脳卒中や骨折、脊髄損傷などで後遺症を伴った患者さんを相手にしています。

 

元に近い状態に戻る方もいれば、なんらかの『障害』を残す方もいます。

 

そして『障害』がある方でも、『介護』が必要でない方もいれば、『介護』が必要となる方もいらっしゃいます。

 

機能訓練や手術や服薬を含めた医療的な処置をすることにより『介護』が必要でなくなる可能性があるならば、極力その『医療』を行う意義がありますが、『医療』をもってしても『介護』が必要な方は少なからずいらっしゃいます。

 

『介護』が必要になった患者さんを見て、まず評価しなくてはいけないことは、その患者さんにどこまでの介護が必要なのか?ということです。

 

全然体が動かせないので、移動の時に相当な力が必要なのか?

 

体はそこそこ動けるけど、認知症などで危険認識がなく、転倒したり徘徊したりするリスクがあるので、力はいらないけど目が離せないレベルか?

 

家の中はなんとか動けるけど、お風呂は手助けが必要とか、部分部分でできるところとできないところはどこか?

 

単身生活なのか家族と暮らしているのか?

 

介護サービスを受けるだけの経済的余裕があるかどうか?

 

 

いろいろひっくるめて、どれだけの介護が必要か、家に帰るためにはどんなことが必要か、本当に家に帰っていいのだろうか?と考えます。

 

介護が必要な患者さんがいた場合、本人と家族にはいつもこんな話をします。

 

 

『◯◯さんは△△の状態なので、□□のような介護が必要になります。その介護を誰がするのかというと2種類あります。まず一つは自宅に帰って家族の方や雇ったヘルパーさんなどがやることになります。もう一つは介護施設などで介護士さんなどにやってもらうことです。どちらが正しくてどちらが間違っているということはありません。家に帰るなら家に帰るための調整をするし、できなければ施設入所などを考えなければいけません。』

 

仮に親が介護が必要になった場合、その配偶者や子供が自宅で介護しないと言った場合、なんだかその配偶者や子供が悪人みたく思われたり、見られたりする傾向にあります。

 

でも、その配偶者や子供にだってその人の人生があるわけで、仕事を辞めたりセーブしたりして、介護に専念せい!というのは全く賛成できないなぁと思います。

 

自宅でずっと介護している方は確かに素晴らしいのですが、その方と介護しない方を比べて、介護しない人は悪だみたいな考え方はちょっとナンセンスのような気がします。

 

患者さんは確かに住み慣れた家に帰りたいと思っていて、家族もそれを叶えたいと思っていつつも、介護量の問題、家族内のいろいろな要因からそれも叶わないのは仕方ない面もあるような気がします。

 

患者さん、それを取り巻く家族がどのような現実的な妥協点をみつけ、家族はどのように支えていくか、それが一番大切なことかもしれません。人間、いつ何時『介護』が必要になるかわかりません。いろんな場面を想定しながら、『介護』が必要になる前に家族内で協議をすることも必要ではないか、と思っています。

 

 

久しぶりに食べたスーパーカップ。

暑くなってきたので、一際美味しい。

 

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