『いつまで預かってもらえますか?』
入院したての患者さんの家族からこのセリフを言われると、怒りとやるせなさでとたんにやる気を失う。
『いつまで預かってもらえますか?』
=
『私たちはこのひとをみたくないのでなるべく長い時間ここにおいてください』
なのである。
一方、『どんな形であるにしてもうちで介護してみていくつもりです。』
と言われると、いつもの気力の150%以上を使って、徹底的に少しでも機能をよくするために考え付くことすべてをやっていきたいとおもう。 そして徹底的な在宅環境調整を用意していく。
話をしていても家族の患者さんに対する愛情は年々減ってきているように思う。まあ、その患者さんが病前に家族にひどい仕打ちをしていたのならわかるが、どんなにその患者さんが家族に懸命に尽くしても言い方はかなり悪いが『バカ息子』『バカ娘』はそういったことも分からず、その患者を思いやる心は確実に減ってきているように思う。
たしかに世の中も変わり、働かなければ食べていけないのはわかる。介護できない状態にあるのはわかるのだが、ものには言い方がある。
『いつまで預かってもらえますか?』
まるで動物でも預けるような言い方がとても許せない。そしてこの言葉には愛情を感じないのだ。
せめて
『現状では在宅介護は難しいが、今現在そして今後、私たちが患者さんにできることはありますしょうか?』
と言われれば、俄然やる気が出る。なんとか少しでもいい方向に向かわせてやりたいと思う。
私のやる気は人間的愛情がどこまであるかで変化していく。