読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

リハドクターKのたわごと

医学医療への雑感を書き記します

食べること、食べられることは素晴らしい②

昨日は『摂食嚥下障害』の大まかなことに関して書かせていただきました。

 

今回は『どのような基準で口から食べていただくか』に関して書こうかなと思います。

 

摂食嚥下障害に関しては3つのパターンがあるとお話ししました。

 

 

 

①意識状態が悪くて、なかなか反応しないパターン

 

②意識状態は良く、本人は食べたい意欲はあるけど、器質的機能的に食べられないパターン

 

認知症などの原因で食べることを拒否してしまうパターン

 

 

 

①に関しては意識状態が良くなることをひたすら神に祈ります。意識状態が良くならない限り、口から食べ物を食べるのは危険だからです。ただ①のパターンは意識状態が良くなるにつれて食べられるケースが比較的多かったりします。

 

③に関しては器質的機能的には異常はないのですが、本人が食に関心が向くように環境を変えてみます。一人にした方がいいのか?色合いがいい方がいいのか?嗜好はどうなのか?

いろんな環境調整で食べてくれる方もいるし、食べてくれない人もいます。やはりこのパターンが一番難しいです。

 

リハビリテーション科が一番関わるのは②のパターンです。どこに原因があるのか?をまず探ります。

 

食べ物をちゃんと認識しているか?

 

食べ物の食べ方をちゃんと認識しているか?

 

舌はちゃんと動いているか?

 

ちゃんと『ごっくん』できているか?

 

食べた時にむせてないか?

 

食べたあとにガラガラ声になっていないか?

 

などなど。

 

視診や触診、喉の聴診などを行なった後に症例によっては精密な検査をします。摂食嚥下障害の検査のゴールデンスタンダードな検査として、

 

①嚥下内視鏡検査

 

②嚥下造影検査

 

があります。

 

 

①の嚥下内視鏡検査についてお話しします。

細い内視鏡を鼻から挿入して、声帯の手前まで入れて、声帯周囲を観察します。

 

f:id:bluerevolution3:20170331185521j:image

 

実際に何かものを食べてもらって、声帯を超えて食べ物が進入してないか、声帯周囲に食べ物の残りカスが多量に残ってないか、などをみます。声帯の奥は気管支や肺になるので、声帯を食べ物が超えてしまうと肺炎の大きな原因になります。また声帯周囲に食べ物がたくさん残っていると知らないうちにその食べ物が声帯を超えて肺に入ってしまい、誤嚥性肺炎の原因になります。

 

f:id:bluerevolution3:20170331185633j:image

 

 

②の嚥下造影検査に関してお話しします。

嚥下造影検査とは食べ物に造影剤という薬を混ぜて、レントゲンの透視を使いその食べ物を食べていただき、ちゃんと口から食道まで食べ物が通るか調べる検査です。

 

f:id:bluerevolution3:20170331185957j:image

 

f:id:bluerevolution3:20170331190021j:image

 

この検査を通じてどこの動きが悪くて、食べ物がちゃんと胃に入っていかないのか?どうして肺に入ってしまうのか?どのような食形態であれば安全に食べられそうかなど多くの情報をえられます。

 

最近ではこれらの検査をして、誤嚥があるから口から食べるのはダメといわれて食べることを禁じられるパターンも増えています。でもこれらの検査はあくまでも検査であって、『たべられるか、食べられないか』だけを判断するものだけでなく、『この検査を通じてどうすれば食べられそうか』を本気で考えられるレベルまで上げていかなくてはいけません。

 

最近、私自身あまりこれらの検査をしなくなりました。最盛期に比べたら5分の1くらいになりました。やりたくないと言う理由でなくて、多くの場合、姿勢や食べさせ方で結構食べられる方のパターンがわかってきたからかもしれません。本当に必要な時にだけ検査することにしています。やはり検査は検査。昨日も言ったようにしっかりその『患者を診る』と言うことが必要なのかもしれません。