リハドクターKのたわごと

医学医療への雑感を書き記します

高血圧症、糖尿病、脂質異常症は治すものなのか?

 

今日、久々にタクシーに乗りました。15分くらいだったけど、よくしゃべるおじさんでした。私が医者であるとは知らずにおじさんは自分の体のことを話し始めました。

 

『俺は若い頃には毎日のように浴びるように飲み、タバコを1日に50本くらい吸ってたな。食べるものも不規則でラーメンとか脂っこいものを食べ続けてたんだよ。5年前くらいに検診で糖尿病と高血圧症と脂質異常症って言われたけど、不規則な生活を続けてたらさ、2年前に脳梗塞になって左半身が一時、動かなくなっちゃったんだよ。すぐに病院に行って脳梗塞だっていわれてさ。カテーテル治療ですぐに左半身が動くようになって助かったよ。それ以来、8種類薬飲んでるよ。お客さんもさ、若いからって暴飲暴食して、高血圧症とか糖尿病とかほっとくととんでもないことになるから気をつけたほうがいいよ。』

 

とおじさんからありがたい講話を受けてしまいました。

 

先天的な病気が原因で高血圧症や糖尿病や脂質異常症になるケースは多々ありますが、これら3つの生活習慣病は主にひどい食生活、ひどい生活態度からおこることがほとんどです。

 

高血圧症の場合、『血圧をコントロールする薬』はありますが、完治させる薬はありません。

 

糖尿病の場合、『血糖をコントロールする薬』はありますが、完治させる薬はありません。

 

脂質異常症の場合、『LDLをコントロールする薬』はありますが、完治させる薬はありません。

 

一度これらの病気にかかると、よほどのことがない限り、一生に近いくらい薬を飲み続けなければいけません。

 

薬を飲み続けたくなければ、やはり若いうちからの生活の見直しが必要です。これらの3つの生活習慣病は症状はでませんが、症状が出た頃には脳梗塞による半身麻痺、腎臓をやられて週3回1回あたり4時間の透析、心筋梗塞による急死なんてこともあります。

 

ところで、タクシーのおっちゃん、糖尿病の影響で目が見にくいなんて言ってたな。大丈夫かなぁ、タクシーのうんちゃんしていて。

 

新潟名物のへぎそば。卵とトロロをつけると最強にヘルシーっぽい。

 

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膝関節痛は99%完治するか?

世の中には『極論本』がたくさんありますね。

 

やはり本のネーミングが重要で、これだけ言い切っていれば、いわゆる『考えない方』『依存傾向の方』や『情報弱者』は飛びつくんだろうなと思います。

 

まず『治る』という概念をどうとるか?が問題です。

 

病気や怪我そのものの原因はとりのぞけていないけど、とりあえず『痛み』などの症状が出ていないことなのか?

 

それとも解剖学的にも正常だし、なんの検査でも異常はないけど、『痛み』などの症状が残っているものなのか?

 

理想とすれば病気や怪我そのものの原因もとりのぞけて、『痛み』などの症状がないのを『治る』というのですが、長生きすればするほど関節などは年齢的変化を受けて骨や軟骨が傷んできます。

 

傷んでくる骨や軟骨は基本的には元のようには戻りません。年齢をとってくると多かれ少なかれ、誰しもが痛みを伴ってきます。

 

うまく体をメインテナンスして、適度に運動し体重に気をつけて生活している方はそのいたみの発生年齢は遅くなりますが、運動しなかったり、肥満傾向な方は痛みの発生年齢は早くなります。早い人は40代くらいで膝などに痛みがくることがあります。

 

膝痛にはたくさんの原因がありますが、圧倒的に多いのは年齢的(最近ではもともとの遺伝的要因もあるといわれていますが)に起こるという『変形性膝関節症』です。65歳以上の高齢者の約6割以上が持っていると言われ、おそらく1000万人近くの方がなんらかの病院や整骨院に通っているのではないか?と思います。

 

膝関節の軟骨がすり減ることが病気の主体で、今現在、その軟骨を元に戻す治療は一部を除いて行われていません。もっとそのへんの軟骨培養がうまくいけばこの治療は変わってくるかもしれませんが、現状ではすり減った軟骨は元に戻りません。

 

また不思議なことに軟骨のすり減り量と痛みに相関関係があまりなくて、めちゃくちゃすり減っていても痛くない人もいれば、少しだけすり減っていてもかなりの痛みを訴える方もいます。

 

さて話を元に戻しましょう。

『治る』と言う概念からして、医者であれば99%完治するなどということは言いません。と言うより99%治すなんて無理なことは知っているからです。

 

これらを言うのはいわゆる『せいたいや』です。彼らは病気や怪我そのものの原因を治すことはできませんから、おそらく『痛み』を治すことを意味しているのでしょう。膝の周りの硬くなった筋肉などを揉み解せば一時的にも『痛み』がなくなったっ感じるでしょう。数回これらを繰り返すとすっかり良くなったと感じると思います。それが彼らの言う『治る』と言うことなのかもしれません。

 

でもね。彼らの商売はリピートさせてなんぼなんですよ。そのうち『完治』した人はまたやってくるものです。うまい口車に乗せられて。

 

病気や怪我の本体を良く調べ、どんな治療が適切かをまずは整形外科医に相談した方がいいでしょう。『すぐ注射しましょう。』という整形外科医だったらもう受診するのはやめましょう。本当に親切な整形外科医だったら生活の見直し、運動方法を話してくれるはずです。

 

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3月18日に思うこと

昨日書こうと思ったのですが、疲れすぎて寝てしまいました。

 

3月18日がくるとなんとなく引き締まる思いがするのです。

 

29年前の3月18日、大学医学部の合格通知をいただきました。

当時、共通一次試験(今のセンター試験)で予想以上の悪い点で某予備校の合格予想はD判定がE判定でした。そして2次試験の日には体調不良で試験問題を惰性で解いていました。当然ながらあまり期待はしていなかったのですが、予想外の合格通知をいただきました。

 

それまでの人生は恵まれたものではなかったので、神様が一気に強運を与えてくれたと思っています。

 

ある意味、この日から医者になることを運命づけられたわけです。

 

どんなに頭が良くても医学部に入らなければ医者になれません。

一方、どんなに頭が悪くても医学部に入って卒業して、国家試験に通れば医者になれます。

 

医者になる第一関門が医学部に入ることになります。

 

本当に9割がた運で入学した大学。本来ならば私より頭が良くて情熱がある方が入りたかった大学かもしれません。その方々が落ちて、もしかしたら違う道で生活しているかも?と考えることがあります。そうであるならば、この道に入った意義をいつも考えていく必要があるんだろうな、と思います。

 

自分がやらなければいけないこと、自分ができることを一つ一つ地道にやっていくことが必要なんだよなぁと考えさせられる1日です。

 

一人で感傷にひたりながらビールを飲んでいたら寝てしまいました。キリンにも『クラッシック』シリーズがあったんですね。

 

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本当に幸せなことって?

 

医者という商売をしていると『あたりまえ』と思われることが本当に『ありがたい』ことのように思います。

 

苦しくなく呼吸ができること

目の前の美しい風景を見られること

ごはんとお味噌汁を食べられること

歩けること

そして、おしっこやうんちがちゃんと出せること

 

我々はこのような『あたりまえ』と思われることができなくなってしまった方もを相手に仕事をしています。

 

数時間前まで普通に生活をしていたのに、病気や事故でそのような機能を喪失してしまう方は日常茶飯事にいらっしゃいます。

 

そしてこれらの『あたりまえ』と思われていることは一度失ってしまうと、前のように完全に元どおりにすることは極めて困難なことが多いのです。きっと医療を本気でやっている方にとってはそのことを痛感するでしょう。

 

一般の方は『病気になったら医者に行って治してもらおう。なんかクスリ飲めば治るだろ。』と安易に思うかもしれませんが、治せるものがあれば治せないものがあると言うことを知るべきです。

 

何度も言うように『自分の体に興味をもちましょう。』。

 

 

お金がたくさんあっても、どんなに地位が高くても、これらの『あたりまえ』のことが失われたら精神的に辛いと思います。一方、お金があまりなくても、地位がどんなに低くても、これらの『あたりまえ』のことが維持されている方が幸せかもしれません。

 

そんなことを考えながら、今日のおやつをいただいています。

 

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若い人の脳卒中増加に関して

ここ数年若い人、とくに40代くらいの脳梗塞脳出血の患者さんが増えている印象があります。

 

うちの病院に『社会復帰目的のリハビリテーション目的』で入院してくる患者は5年前に比べると1.5倍くらいになっています。

 

脳卒中は脳の血管が詰まるタイプの脳梗塞、脳の血管が破れて起こる脳出血、脳の血管に動脈瘤ができてそれが破れておこるくも膜下出血に分かれますが、多くなっているのは脳梗塞脳出血です。

 

原因として次の4つが挙げられます。

 

①食べたいものを食べ続け、運動もせずに高血圧症や糖尿病にかかり、全身の血管がもろくなり、それに伴っておこるタイプ

 

②仕事や家庭のストレスがひどくて、不整脈となり、心臓で血栓(血のかたまり)をつくり、それが脳に移動して脳の血管をつまらせて脳梗塞になったり、血圧が上がりやすくなり脳出血をおこすタイプ

 

③血管の奇形などで脳の血管が破れてしまう先天的なタイプ

 

④本当に原因不明

 

 

脳卒中になるといろんな後遺症を来す可能性は限りなく高いです。人によっては半身不随。人によっては言葉を理解できなくなったり、言葉を話せなくなったり。人によっては記憶障害になったり、。人によってはわけのわからない行動をしたり。

 

脳卒中に罹った方の大多数がこのような後遺症を来すのです。

 

とくに40代くらいの若い方が脳卒中になった場合、かなり大変です。歩くことや身の回りのことができるようになっても、働くことや趣味活動などを諦めなくてはいけない方も少なくありません。

 

皆、病気になったら病院で治してもらえばいいし、きっと前のように戻ると思って病院に入院してきますが、脳や脊髄などの神経の損傷は一筋縄ではいかず、

 

『こんなはずじゃなかった。』

 

と落胆して精神的に落ち込む方も少なくありません。

 

先天的な要因や原因不明でおこってしまった脳卒中は致し方ないかもしれませんが、生活習慣や過度のストレスで起こってしまう脳卒中は少なくとも可能性を低くすることはできるはず。そのためには自分の体に興味を持つこと。そして高血圧症や糖尿病にならないように気をつけることが必要です。

 

脳卒中を来した若年者の食生活を聞いてみると結構すごいです。3食ラーメンとか、ケーキを1日に5個たべるとか、ご飯にチョコレートをまぶしているとか、牛丼にタレをさらに倍増させるとか。

 

または仕事でほとんど寝てないとか、仕事を終わった後に飲みまくってるとか、心を休めてない方も少なくありません。

 

100%脳卒中にならない方法はないけど、脳卒中になる可能性を1%でも下げられるような生活を心がけたいものです。

 

ちなみにこの本はおすすめです。

 

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ワクチンの是非 ワクチンは悪なのか?

ワクチン

 

いわゆる重大な感染症にかからないため、病原体から得られた無毒化もしくは弱毒化した抗原を注射して、体内でその病原体に対する抗体をつくる仕組みです。

 

病原体の抗体を体内で作るので、その病原体が体内に侵入してきたときに重症にならないように闘って命を守ってくれます。

 

生ワクチンと不活化ワクチンと大きく分けて2つありますが、今回はこの辺のことは省きたいと思います。

 

BCGとかポリオワクチンとか麻疹や風疹、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンなど聞いたことはあるでしょう。そのような重症な感染症にかかることを未然に防ぐためにこのようなワクチンは存在します。

 

最近、『ワクチンは超危険だから打つな‼︎』という記事が雑誌やインターネットに氾濫しています。

 

MMRワクチン(麻疹、おたふく、風疹の3種混合ワクチン)を打つと自閉症になるとか、インフルエンザワクチンを打つとギランバレー症候群になるとか、、、

 

さらに追い討ちをかけたのが、子宮頚がんの発生原因と言われるヒトパピローマウイルスに対するワクチンで失神や痺れ、記憶障害などの副作用がでた症例がセンセーショナルに発表されたことです。

 

前にも書いたと思いますが、ワクチンも薬です。薬なので著効することもあれば、何かしらの副作用をきたすこともあります。

 

ただみなさんに考えていただきたいのは、ワクチンを打ったことによる副作用が起こる可能性とワクチンを打たないことによって罹患するかもしれない可能性はどちらが高いでしょうか?

 

そして報道する側として、ワクチンの副作用でこんなひどい目にあったという報道とワクチンを打たないで病気で大変な目にあったという報道はどちらがインパクトがあるでしょうか?

 

ワクチンを打つか打たないかはいろんな情報を見て決めていただければと考えます。ただただ一面のセンセーショナルな記事だけみて決めることは考えたほうがいいです。

 

これも前に言いましたが、医療ほどそして人間の体ほど不確実なものはありません。メリットとデメリットをしっかり理解した上で決めてください。人任せではいけません。

 

 

私の同級生が子供のおたふく風邪後の後遺症の一つ『難聴』の治療のために闘っています。ただ治療としては難しいのです。それならばおたふく風邪に前もって罹患しないことが一番と考え、ワクチン接種を普及させようと頑張っています。私は心から同級生の運動を応援していきたいと考えています。

 

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『生活に困ったら生活保護になればいいや!』でいいの?

某病院で久しぶりにある若いの脳出血後の患者が外来に来ました。

 

要件は『身体障害者手帳の診断書を書いてくれと。』

 

動きが悪くなり、作業効率も悪くなったので会社のほうで、障害者枠での雇用でしか雇用できないと言われたとのこと。

 

そもそもこの患者、とにかく人のいうことを聞かず、この病気になったのは暴飲暴食、浴びるように酒をのみまくっていて起こったにも関わらず、入院中から食事指導は全く聞かず好きなものをパクパク食い続け、自己管理を全くできないまま勝手に早期に退院していきました。

 

退院後も好き勝手なことをやっていて、あびるように酒は飲んでいるは好きなものを食いまくってるは、、、太ってるはろくな挨拶はしないは、、、。

 

身体障害者手帳の診断はできるけど、今のままではさらに脳出血の再発なども危惧される状態なのですが、本人は全く他人事。

 

私『こんな生活してたらまた再発するよ。そしたら働けなくなるし、下手したら寝たきりになるよ。身体障害者手帳による支援はどこから出てると思う?税金からだよ。身体障害者手帳級数がさらにあがったら税金からの支出が多くなることは自覚しないと。』

 

患者『(にたにた)』

 

私『これ以上悪くなったら生活上で収入なくなるけどどうするの?』

 

患者『まぁ、そうなったら生活保護で養ってもらいますよ。』

 

 

、、、、、、

 

 

生活保護という制度は絶対的に必要だとは思っていますが、好き勝手なことをして体を壊し、労働活動ができなくなったから生活保護を支給してもらうというのは少し違うと思います。

 

不可抗力な病気や事故で働けなくなったなどの理由ならまだしも、防げることをしっかりやった上でないと納得できないよなぁ。

 

世の中、こう言った人が多いんだろうな。なんだか税金を払うのが嫌になるよ。

 

病気にならないためにはまず食事、そして運動。私より若い人で重症な病気になる方が増えているので私もさらに運動に励みます。

 

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