長時間労働是正に思う〜医者の立場から〜
今は長時間労働=悪という風潮になっています。
電通の過労死問題がさらにそれを後押しして、その風潮はさらに強くなりました。そしてプレミアムフライデーなるものができました。
長時間労働は確かに褒められるべきものではありません。当然ながら就業時間内に仕事を全て終わらせることがあるべき姿でしょう。でも世の中、そのような理屈が全て通るわけではありません。
世の中には3種類のタイプの働く形態があるのではないか、と考えています。
一つめは生活のために、お金をただただ稼ぎだすためのもの。嫌な仕事でもなんとかお金を得るための手段として自分の時間を売る形のもの。このタイプが一番多いでしょう。
二つめはとにかく半ば金銭度外視で働くことが面白くて仕方ないタイプ。一部の経営者や研究者などはこのタイプが多いかもしれません。苦しい場面もたくさんあるけど自分の興味のおもむくままでやれるので幸せかもしれませんね。
三つめは、仕事をある種の『mission』と位置づけて他人や社会に対しての貢献を目的とした働き方をするタイプ。医者や官僚、企業のナンバー2のようなタイプが多いかもしれません。
過労死や自殺が多いのは、三番目のタイプが多いと思われます。なんらかの使命感が強すぎて、なんらかの原因でそれらを挫かれると自分の存在意義が崩れてしまうのでしょう。電通勤務されて自殺してしまった女性も会社内で猛烈に上司に否定されて心が病んでしまったのではないか、と思います。
私は医療業界に入り、23年になります。一番忙しい時期には時間外労働、呼び出し、当直などを含めると規定労働時間をゆうに250時間を超えたこともあります。平均睡眠時間3時間なんてこともよくありました。でもなんとかやれたのは心が折れるような自己存在意義をなくす出来事がなかったこと、そして素晴らしい職場環境だったことにつきます。
必ずしも労働時間が長いことだけが悪いことでないと思います。どのような職場環境であることか、そして人間を人間としてみる人間がどれだけ多いかに尽きると思います。