リハドクターKのたわごと

医学医療への雑感を書き記します

『今まで病気一つしたことなくて、病院なんて行ったことないのに、、、』と言う高齢者は本当に健康なの?

私は脳卒中で半身不随になって歩けない、身の回りのことができなくなってしまった方を対象に仕事をしています。

 

最近では高齢者も増えてきて、寝たきりに近い方もいらっしゃいます。そのような方からよくこんな言葉を聞きます。

 

『わしは今まで病気一つしたことなくて、病院なんてほとんど行ったことがないくらい健康だったのに、どうしてこうなっちゃったんかねぇ。』

 

そのように言われる多くの方の血圧を測ると200近かったり、血糖値が300くらいあってHbA1cが10以上だったり、総コレステロールが400位だったりします。

 

まぁ、要するに『病気をしたことがないのではなくて、今の体の状態を誰からも指摘されていない』だけなのです。

 

もともとじわりじわりと病気が進行していて、気がついたら大きな障害になってしまったと言った感じです。

 

普段から頻繁に病院に行ったほうがいいと言っているわけではありません。ただ1年に1回くらいは検診を受けて何かしらのチェックは受けたほうがいいと思います。

 

異常値がでても症状が出ないと人間はしっかりとした生活を送らないのですが、何回も言うように生活習慣病は症状が出た頃には手の施しようがないのです。

 

高齢者の『今まで病気一つしたことなくて、、、』と言うのは自慢でもなんでもなくて、単なる自分の体に興味がないことのしるしであることが多いのです。

 

知り合いからいただいた手作りクッキー、美味しかったなぁ。

 

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医療と金②

 

医療費って結構高いですよね。そう思う方は多いと思います。でも諸外国に比べると安いほうなんですよ。そしていつ何時も高いレベルの治療を受けられる面からすれば、日本は医療に関しての総合面から見るとトップクラスだと思います。

 

どんなに医療を受けても医療費の自己負担が無料になる方々がいます。

 

生活保護受給者

 

身体障害者手帳1級、または2級所持者(自治体によっては3級でも可能)

 

です。集中治療などで医療費が月に何百万円かかっても自己負担はかかりません。

 

致し方ない経緯で、生活保護身体障害者になっ方がこのような権利を使うのは妥当だと思いますが、自分の好き勝手なことをして結果的にこのような状態になった方が『医療費無料』の権利を使うのはなんか合点がいきません。

 

そして、自分の好き放題に生きてきてこのような状態になった方ほど、医療に関して遠慮なく自分の権利を主張する方が結構多いのです。

 

特に2型糖尿病を悪化させて透析になった方はそのような傾向が多かったりします。前にも書きましたが、透析治療は1年間に500万円くらいかかります。でも透析を受けている患者は自己負担は0円です。だから言いたいことばかり言っている方も多いです。

 

『もっと優しく、丁寧にしないと病院を変えちゃうよ。俺が病院を変えれば、この病院の収益か落ちるけどね。それでもいいの?』みたいなことを言う人もいるくらいですから。

 

また医療費が無料であることをいいことにたくさんのハ◯シオ◯とかを処方してもらって、溜め込んで密売しているような不遜な人もいるし。

 

医療費無料というのは一見優しく見えるけど、医療へのありがたみとか感謝を忘れさせてしまうものです。やってもらって当たり前みたいな感じなので、あまりよろしくないような気がします。

 

医療費は半分は公費になります。そのような公費を無駄にするような行為は本当に勘弁してくれ、と思う今日この頃。そして医療費無料の方は謙虚な気持ちで医療を受けていただきたいと思います。

 

牛乳プリンはおいしいなぁ。

 

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医療と金①

 

医療はサービス業です。

慈善事業やボランティアでなないので、『治療』というサービスを受けたら、その対価を支払わなければいけません。

 

しかし、そのサービスを受けて、何度も何度もその対価となる『治療費』を請求しても支払わない方は結構多いのです。

 

支払い能力がないけど真面目な正直な方は最初から病院と交渉して、なんとか分割にしてでも払ってくれる方が多いのですが、払わない方は支払い能力があるくせに払わない方が多いのです。

 

払わないことを悪いことだとは思っていなくて、

 

『全くしつこいなぁ。払えないものは払えないんだよ。全く金、金とうるさいなぁ。福祉ってもっと優しくすべきもんだろ。』

 

とかキレるは、開き直るは。

 

人によっては治療費取り立てに行っても居留守を使ったり、電話をブロックしてたりします。

 

そう言った人に限ってタバコをバコバコ吸ってたり、酒を浴びるように飲んだり、パチンコに行ったりしている金はあるんだよなぁ。

 

ラーメン屋さんでラーメンを食べたあと、金を払わないで逃げたら、食い逃げで窃盗で捕まりますよね。

 

でも医療機関で『治療』というサービスを受けながら、お金を払わなくても罪にならないんですよね。

 

なんかおかしくないですか?

 

医療が若干の慈善事業的要素があるので、やはり『甘え』が出るんでしょうね。

 

サービスを受けたら金を払う、そのような基本的なことがわからない人が増えているのはなんだかなぁ、って感じますね。

 

今日は月に一度のジャンキーな日です。

 

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暴力沙汰ニュースに思う

昨日の新聞でこんな記事が載っていました。

 

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介護施設で職員が利用者に暴力をふるった、とのこと。

 

一般の方は

 

『患者という弱い存在をいじめやがって。ひどいやつだ。こんな施設潰してしまえ。』

 

と思う方は多いかもしれません。

 

私はこう言った暴力沙汰の記事が載ると、新聞報道ではあたかも、

 

『利用者は全く悪くない。暴力をふるった奴が全面的に悪い。』

 

という論調です。

 

でも本当にそうでしょうか?

 

医療介護現場にいると、利用者は聖人君子みたいな方が全てではないし、むしろ少ないくらいです。

 

それに医療介護業界で働いている人だって凶暴な人ばかりではありません。むしろ優しい方が多いのです。

 

記事を見てみると、暴力をふるったという理由が書いてありません。書いていない方が実際多いのです。

 

医療介護現場にいると利用者に言われもない暴言を浴びせられたり、暴力を振るわれたり、唾を吹きかけられたり、セクハラを受けたりしても我慢して仕事をしている方がたくさんいます。そんな中で耐えて耐えて耐えまくっても、耐えらなくなり手をあげてしまう方もいるかもしれません。

 

医者や看護師、介護士さんなどが暴力を振るわれてもあまりニュースになりませんが、暴力をふるった側になるとすぐ叩かれます。その方が『お涙ちょうだい』の日本では受けるからです。

 

たしかに信じられないような暴力を振るう医療介護者もいるし、当然、暴力はいけないことです。でもこう言った見方もあるんだよ、と少し心の片隅に置いていただけたら幸いです。

 

 

ブラックジャックの中で好きなシーン③

さらに続きです。

 

放送部のアイドル的な女性がある時、声がでなくなってしまい、ブラックジャックの診察を受けたところ声帯ポリープでした。ブラックジャックに手術を受け、しばらくの間声を出してはいけないと指導をうけていたのですが、その約束を破ってしまい更に変な声になってしまいました。

 

それに怒ったブラックジャックはある処置をして、『これから半年、何があっても話をしてはいけない。もしこれを破ったらもう声はでない。』と忠告。

 

放送部のアイドル女性は筆談などでしのぎながら、声を出さずに半年を乗り切り、ブラックジャックのもとへ。

 

ブラックジャックは意地悪にも『治療なんてしてないよ。』と言ったところ、放送部のアイドルは悲観して診察室から出て行ったところ、崖から落ちそうになった。

 

とっさに、『助けて〜。』と綺麗な美しい声が。

 

女性を助けたブラックジャックがその後に発した一言。

 

治療を受ける際には本気にならないとやはりいけない。じゃないと自分の大切なものを失ってしまうものです。

 

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ブラックジャックの中で好きなシーン②

前回の続き

 

このシーンはブラックジャックがメスを研いでもらうために刀の研ぎ師を訪れたとき、その研ぎ師の心臓が停止。ブラックジャックが開胸してなんとか命を救おうとしたけど、結局ダメでその研ぎ師は亡くなりました。

 

研ぎ師の部屋には研ぎ師が自分の死を悟ったかのようないわゆる『遺言』のような手紙が残されていました。

 

 

『生き死にはものの常也

医の道は他にあると知るべし』

 

 

このフレーズを見た時は震えました。我々医者はその道を見つけるために仕事をしなくちゃいけないと改めて思います。

 

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ブラックジャックの中で好きなシーン①

医者を主人公とする漫画の先駆けであり、最高傑作の漫画『ブラックジャック

 

おそらく医者ものの漫画で今後、これを超える漫画は出てこないでしょう。

 

この漫画を読んで医者になろうと考えた方はたくさんいると思います。それだけ一つ一つの描写にインパクトがあります。

 

その中で私自身の心に突き刺さった場面を紹介します。

 

一番好きなところはこの場面です。

ブラックジャックが原因不明の病気になった恩師を助けようと手術でなんとかしようとしますが、結局亡くなり、傷心のブラックジャックに恩師がかける言葉

 

『人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね、、、』

 

今でもいろんな場面でこの言葉を思い出します。人間が生きること、死ぬこと。本来どうあるべきかを全国民は考えなくちゃいけないといつも思います。

 

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